借金を抱えている方が家を購入する際には、いくつかの不安や疑問が生じるかもしれません。
例えば、「借金があるのに、本当にマイホームを購入できるのか」といった点です。
実際に、借金を抱えていると住宅ローンの審査には不利になる可能性があります。
なぜなら、借金は負債として捉えられるためです。
それゆえ、審査に通りやすくするためには、いくつかの対策を講じる必要があります。
また、あらかじめ注意点を理解しておくことも重要です。
このため、以下では借金があっても住宅ローンでの家の購入が可能かどうかを整理し、審査に通るための対策と実施すべき手続きについて紹介します。
その他借入があっても住宅ローンは組めます
要約すると、借金があっても自宅の購入は可能です。
金融機関によって審査基準は異なるため、借金が原因で審査に落ちるかどうかは申し込み先によります。
しかし、借金があるからといって必ずしも住宅ローンが受けられないわけではありません。
ですから、借金があるからと諦める必要はありません。
家を購入する可能性があるので、まずは実際に審査がどのように行われるのか、基準や考え方を知ることが重要です。
まずはやるべきこと
その他借入があっても住宅ローンは組めますが、事前準備が必要です。
借入額の把握
最初に、自分が抱えている借金について詳しく整理しましょう。
具体的には、借入元や借入残高、自分がどれくらいのペースで返済しているのか、金利の情報、そして滞納の有無などを把握しましょう。
これらの項目を一つひとつリストアップし、Excelや紙などにまとめましょう。
特に、複数の借金を抱えている人や長期的に返済をしている人は、自分の債務状況を正確に把握できていないことが多いため、一度きちんと整理する必要があります。
整理ができたら、返済可能な借金があるかどうかをチェックしてみましょう。
たとえば、「残りの返済額を貯金で一括返済すれば完済できそうだ」といったことがわかった場合、実際に完済できれば、借金が減って住宅ローンの審査に通る可能性も高まるでしょう。
その他借入を含めた住宅ローンの返済比率を計算
住宅ローンを考える上で、返済比率は非常に重要な要素です。
返済比率とは、年収に対して年間の返済額が占める割合のことを指します。
例えば、年収500万円で年間50万円の返済が必要な場合、返済比率は10%となります。
返済比率が低い方が、審査通過の可能性は高くなります。
これは、年収に対して返済負担が少ないほど、返済が滞るリスクが低くなるからです。
住宅ローン審査を受ける際、借金を抱えている場合は、住宅ローンと現在の借金を合算し、返済比率を計算する必要があります。
計算式は以下の通りです。
返済比率(%)=年間のすべての返済額÷年収×100 返済比率を事前に計算しておけば、住宅ローンを借りた場合の返済負担を自己把握することができます。
これにより、返済計画を立てる上での手助けとなります。
その他借入があっても住宅ローンを借りるには
そして、もう一つの興味深いトピックとして、借金がある場合でも住宅ローンを借りるために必要な条件について詳しく説明しましょう。
住宅ローンを借りる際には、以下の条件を満たすことが最低限望ましいと言えます。
返済比率が金融機関の基準以下
住宅ローンの審査では、返済比率が非常に重要な要素です。
返済比率が低ければ、審査に通りやすくなる傾向があります。
金融機関は、住宅ローンを含む他の借金も考慮して、一般的には返済比率が25%〜35%の範囲内であることが望ましいとされています。
さらに理想としては、返済比率を25%以下に抑えることができれば、審査通過の可能性が高まります。
例えば、フラット35の場合、返済比率の基準は次の通りです。
年収が400万円未満の場合、返済負担率は30%以下である必要があります。
一方、年収が400万円以上の場合、返済負担率は35%以下である必要があります。
返済比率が高くなれば、毎月の返済負担が大きくなるため、返済困難になるリスクが高まります。
金融機関は、返済遅延のリスクが高い人に対しては貸し付けを行わない傾向があります。
そのため、住宅ローンを申し込む際には、返済比率が基準以下であることが必要不可欠です。
返済比率に合わせるために返済期間を長くする
ローンの審査を通過しやすくするためには、返済期間を長く設定するという対策が有効です。
長期的な返済を行うことで、毎月の返済額が減るため、返済比率も低くなります。
ただし、返済期間が長くなると、支払うべき利息の合計額が増えることになります。
その結果、短期的な返済と比べて、返済総額が増えることに注意が必要です。
ローン返済が高齢になっても続く場合、将来の経済状況に大きな影響を及ぼす可能性もあります。
また、長期的な返済を行うことになると、長い間借金を抱えた状態になるため、精神的な負担も長引く可能性があります。
したがって、これらの点について理解しておくことが重要です。
個人信用情報の確認
借金を抱えたままで家を買う場合、第一に考慮されるのは個人信用情報です。
個人信用情報は、ローンやクレジットカードの申し込みや利用の履歴を指します。
この情報は信用情報機関によって管理されており、住宅ローンの審査では信用情報をチェックすることになります。
ただし、借金を抱えているだけであれば問題はありませんが、過去に返済に遅れたりトラブルを起こしたことがあるかどうかに注意が必要です。
返済に遅れた履歴は信用情報に記録されるため、住宅ローンの審査では不利になる可能性があります。
特に長期間の遅延や強制解約、債務整理などの事故情報はマイナスの情報となり、住宅ローンの審査に通過しにくくなります。
個人信用情報の履歴は、各信用情報機関に開示請求することで確認できます。
住宅ローンの申し込みを検討する方は、事前に履歴を確認しておくことをおすすめします。
返済比率に合わせるために頭金を多く入れる
住宅ローンの審査を通過するのに役立つ選択肢は、返済比率を下げることです。
これを実現するために、頭金を多く支払うという方法が考えられます。
頭金を多くすることで、借り入れ額が減り、返済比率も低くなります。
しかし、頭金を支払うために現金が少なくなるというデメリットもあります。
現金が不足すると、将来的な生活費やローン返済のための余裕が減ってしまう恐れがあります。
急な解雇や収入の減少、病気やケガに備えることができなくなるというリスクもありますので、注意が必要です。
その他借入を先に返済する
住宅ローンの審査に通るためには、返済比率を減らし、金融機関が貸し倒れのリスクを低いと判断することが重要です。
そのため、現在借金を抱えている場合、手元にまとまった現金がある方は、借金を優先的に返済してから住宅ローンの申し込みを行うことが良いです。
今すぐ家を購入する予定がない場合は、借金の返済を続けて、完済または借り入れ残高が減った後に住宅ローンの申し込みを行うことが望ましいです。
早めに家を購入したい場合は、手元の現金をできる限り借金の返済に充てた後、住宅ローンに申し込むことがおすすめです。
特に消費者金融やキャッシングなどの借り入れは、印象が悪くなる可能性があるため、優先して返済するべきです。
安定した収入がある
収入が安定している人は、借金があっても住宅ローンの審査で不利になりにくい傾向があります。
安定した収入とは、具体的には次のような条件を指します。
まず、正社員や公務員のような正規雇用で働いていることです。
また、勤続年数が長いことも重要です。
これらの条件に該当する人は、毎月安定的な収入が得られているため、返済能力があると判断されます。
そのため、住宅ローンの審査でも通りやすいと言えます。
逆に、住宅ローンを組む直前に転職するのはあまりおすすめできません。
また、経営者や個人事業主の方は、収入が上下する傾向があるため、ローンの審査では不利になりやすい傾向があります。
借りる際の注意点
住宅ローンを借りる際には、借金が既にある状態であることに注意が必要です。
この場合、以下の点に特に注意して申し込む必要があります。
事前に充分な理解を持つことが重要ですので、細かい詳細をひとつずつ見ていきましょう。
借入額で嘘をつかない
住宅ローンの審査では、現在の借り入れ状況について、正確に申告することが非常に重要です。
もし借り入れ額や借入れ件数を偽って申告してしまうと、審査に通りにくくなってしまいます。
住宅ローンの審査では、信用情報がチェックされるため、金融機関側も借り入れの詳細を把握することができます。
ですから、嘘をついてもすぐにばれてしまい、結果的に嘘をついたことだけが残り、審査に悪影響を与えることになります。
もし万が一虚偽の情報で審査に通ったとしても、後で嘘が発覚すれば、一括返済を求められる場合や家の売却が要求される場合もあります。
そのため、非常に注意が必要です。
事前審査後に新たに借金をしない
住宅ローンの審査は、まず最初に事前審査が行われ、その後に本審査に進みます。
ですから、事前審査が承認されたからといって、本審査が行われる前に借り入れを行うことは避けるべきです。
事前審査が終わってから新たに借金をしてしまうと、返済比率が上昇してしまいます。
返済比率が上がると、本審査で不利な状況になり、審査が否決される可能性が高くなるため、新たな借り入れは避けましょう。
納税の滞納は高確率で審査に落ちる
税金を滞納している方は、ほとんどの場合、住宅ローンを受ける際に審査に通らない可能性が非常に高くなります。
住民税や所得額などの税金の滞納状況は、住宅ローンの審査において非常に重要な要素となります。
特に、個人事業主や自営業者の方は、確定申告を怠ると、所得税を納めていないことと同じ扱いになってしまいます。
このような状況では、さらに住宅ローンの審査に通るのは難しくなるでしょう。
税金の滞納がある方は、家を購入する前に、まずは税金を優先的に納める必要があります。
個人信用情報に延滞履歴がある場合の対処法
個人の信用情報には、例えばローンの延滞などの事故情報が登録されていることがあります。
このような事故情報がある場合、住宅ローンの審査においては非常に不利になる可能性が高いです。
ですから、もし延滞の履歴がある方は、次のような対処法を事前にチェックしておくことをおすすめします。
延滞が解消されるまで待つ
延滞情報が登録された場合、その情報は一定期間保管された後に抹消される仕組みがあります。
この間に抹消の要求することはできませんので、延滞履歴がある方は、まずは延滞情報が抹消されるまで待つことをおすすめします。
ただし、KSCにおける個人再生や自己破産の履歴を除くと、履歴の抹消までにはおおむね5年かかることがわかっています。
また、滞納の履歴については、支払いを行い滞納が解消された時点から5年という考え方になるため、注意が必要です。
したがって、滞納が解消された後、5年経過するまでに家の購入を検討することが望ましいと言えます。
延滞履歴があっても借りられる住宅ローンを利用する
住宅ローンの中には、延滞履歴があっても借りられるものが存在しています。
ですから、延滞履歴があっても、それでも家を購入したいという方は、延滞履歴のある方でも申し込み可能な住宅ローンを選ぶと良いでしょう。
ただし、以下に述べるリスクやデメリットには注意が必要です。
まず、担保が必要とされる場合があります。
一般的な住宅ローンとは異なり、延滞履歴がある方が借りられる住宅ローンでは、追加の保証が求められることがあります。
これは、貸金業者が貸し手に対して、より安全な取引を保証してもらうためのものです。
また、延滞履歴がある方が借りられる住宅ローンでは、保証料が高くなる可能性があります。
これは、貸金業者が貸し手に対して、リスクの高い借り手に対する保障を高めるための措置です。
そのため、通常よりも高い保証料が発生することがあります。
さらに、延滞履歴がある方が借りられる住宅ローンは、利用可能な選択肢が限られることもあります。
一部の金融機関や貸金業者が提供する特別な商品であり、全ての金融機関で利用できるわけではありません。
最後に、延滞履歴がある方が借りられる住宅ローンには、収入の条件が比較的厳しい場合があります。
一般的に、一定水準以上の収入が必要とされることがあります。
これは、延滞履歴がある方にとっては追加の負担となるかもしれません。
延滞履歴がある方でも住宅ローンを利用することは可能ですが、上記のリスクやデメリットに留意する必要があります。
個々の状況に合わせて、最適な住宅ローンを選択することが重要です。
まとめ
住宅ローンでの家の購入を検討する際、借金がある場合は返済比率や個人信用情報の審査基準に詳しい知識を持つことが重要です。
ただし、借金があるからといって必ずしも住宅ローンが組めないわけではありません。
まずは、審査に通るための条件や問題の対処法を確認することが必要です。
住宅ローンの申し込みを考える上で、借金を少しでも減らしておくことが最善です。
また、頭金を多く支払うなどの対策も有効ですので、万全の対策を考える場合は、ファイナンシャルプランナー(FP)との相談も積極的に行うことをおすすめします。