土地や建物の売買契約を結んだ後、契約内容に不満がある場合、契約を解除することができます。
ただし、不動産の売買契約は法的に拘束力があるため、自由に解除することはできません。
もし納得がいかない場合には、解除手続きを行う必要があります。
契約解除をしたい場合、具体的にどのような手続きを行うのかを事前に理解しておくと、トラブルを回避することができます。
この記事では、契約解除の方法や注意点について詳しく説明します。
契約解除は売主・買主どちらからでも申し出が可能
不動産を売買する際の契約は、一度交わせば絶対に解除できないわけではありません。
ケースバイケースで、途中で解除することが可能な場合もあります。
この解除は、買主または売主のどちらからでも申し出ることができますが、注意が必要です。
なぜなら、解除する場合には手付金を放棄するなどの一定のペナルティが発生するからです。
では、実際の契約解除の仕組みについて詳しく見ていきましょう。
解除が認められる場合と認められない場合
契約解除は、ある当事者が契約を終了させるために、明確な意思表示を行うことです。
契約解除には特定の条件があります。
例えば、商品の売買契約を交わした後で、より良い条件で購入希望者が現れたからといって、売主が自己の判断で契約を解除することはできません。
ただし、売買契約書に解除の条件が明記されている場合は、その条件を満たす場合には契約解除が認められることもあります。
民法では、売買契約の解除の条件として、「履行義務違反による解除」「契約違反による解除」「手付金による解除」などが規定されています。
契約の解除が認められる3つのパターン
ここでは契約の解除が認められる3つのパターンを見ていきましょう。
債務不履行を理由とする解除
契約を解除する場合、債務の不履行が起こることがあります。
債務不履行には、いくつかのケースがあります。
「履行遅滞」とは、例えば不動産の売買契約において、買主が決済日までに売買代金を支払えない場合や、売主が移転登記を行えないケースなどを指します。
これは売買契約の内容が確定しているが、契約の履行が遅れることを意味します。
一方、「不完全履行」とは、契約は遅滞なく履行されているが、その内容が不十分である場合を指します。
例えば、商品の一部が欠けていたり、約束されたサービスが不十分だったりすると、不完全履行になります。
また、「履行不能」とは、契約の履行が何らかの理由で不可能になってしまった場合を指します。
例えば、火災によって商品が焼失した場合や、天災が発生して約束されたサービスを提供できなくなった場合などが該当します。
このような状況では、契約の履行が不可能であるため、解除することが検討されます。
契約不適合責任による解除
不動産の売買契約では、売主が約束した条件に合わない物件を買主が受け取った場合、売主は責任を負うことがあります。
この場合、契約不適合責任に基づき、買主は契約を解除する権利を持つことができます。
この契約不適合責任による契約解除は、売主に故意や過失があるかどうかに関係なく、責任が発生します。
つまり、売主が意図的に問題を起こしたわけでもなく、単純なミスを犯したわけでもなくても、責任を負うことになります。
契約不適合責任が認められる場合、買主は売主に対して物件の改修を求めたり、損害賠償を請求したり、契約を解除することができます。
これは買主の権利です。
買主が物件の問題を指摘し、売主がそれに対処しない場合、買主は契約を解除して元の状態に戻ることができるのです。
また、買主は損害賠償を請求することも可能です。
例えば、契約に基づいて予定されていた利益や時間の損失などの損害を買主が被った場合、売主はそれらの損害を補償しなければなりません。
契約不適合責任は、買主を保護し、公正な取引を促進するための重要な制度です。
買主は物件の状態や仕様をしっかりと確認し、契約書に明記された条件が守られることを期待しています。
しかし、万が一、その条件に合わない不具合が発生した場合、買主は契約不適合責任を行使することができます。
これにより、公正な取引が守られ、買主の利益が保護されるのです。
手付による解除
不動産を買ったり売ったりする場合、価格の一部として手付金を支払うことがあります。
この手付金は通常、物件の価格の約10%程度です。
これは「解除手付」と呼ばれ、もし必要な場合は手付金を失うか、または手付金の倍額を返金することで契約を解除することができます。
手付解除の手続き方法
手付金を放棄して契約を解除することは、売買契約書に記載された期限までの間に限定されています。
では、具体的にどのような方法で契約を解除できるのか、詳しく解説しましょう。
契約解除を行う方法
もし買主が契約を解除したい場合、手付金を放棄することによって契約を解除することができます。
具体的な手続きとしては、手付金の放棄と契約解除の意思を内容証明郵便などの方法で通知することです。
一方、売主の場合は、契約を解除する意思を買主に伝えると同時に、手付金の2倍を支払うことで契約を解除します。
ただし、手付金の放棄による解除を行うためには、契約書に事前に手付金の放棄に関する条文が含まれている必要があります。
まとめ
不動産の売買契約を解除することは、売主または買主のどちらからでも申し出ることができます。
ただし、契約を解除するためには特定の要件を満たす必要があります。
例えば、手付金を放棄することによって、無条件で契約を解除することができる場合もあります。
手付金は物件の購入を確定させるために支払われる一定の金額であるため、放棄することで契約が破棄されることがあります。
ただし、手付金を放棄による契約解除は、買主または売主のいずれかが既に契約の履行に着手してしまった場合には不可能となります。
つまり、契約を履行するための手続きが進んでしまった場合には、手付金を放棄して契約を解除することはできなくなります。